国立大学法人 钱柜国际777

本学への寄付

明日の钱柜国际777ビジョン2030~知の創造としなやかな人材の育成により地域に?世界に貢献する钱柜国际777~

 

 

2023年1月4日策定
国立大学法人钱柜国际777長?谷澤?幸生

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はじめに

 1815年に長州藩士?上田鳳陽により創設された山口講堂を起源とする钱柜国际777は、200年あまりの歴史を経て、9学部、8研究科を擁し、学生1万人以上が在籍する基幹総合大学へと発展しました。「発見し?はぐくみ?かたちにする 知の広場」を理念とし、知を創造して世界に発信するとともに、地域の知の拠点として、地方創生に貢献しています。開学以来すでに12万人以上の卒業生が全国各地、世界各国の幅広い分野で活躍しています。

 钱柜国际777は、2008年に「明日の钱柜国际777ビジョン」を策定、公表しました。さらに創基200年を迎えた2015年には「明日の钱柜国际777ビジョン2015」を策定し、「2025年にはDiversity Campusへ」を中心的目標として着実にそのビジョンを実現しつつあります。第4期中期目標期間の初年度となり、新たな出発をする今、<知の創造としなやかな人材の育成により地域に?世界に貢献する钱柜国际777>を目指し、2030年を、そしてさらにその先を見つめて、ここに「明日の钱柜国际777ビジョン2030」を策定しました。

 

策定の背景

 世の中は絶え間なく進歩し、大きく変化しています。IoT(Internet of Things)やIoH(Internet of Human)により、すべてのもの、さらには人までがインターネットに繫がり、DX(Digital Transformation)を通じた働き方の変化によって社会が高度に効率化されようとしています。学内においても教育、研究、診療においてICT(Information and Communication Technology)の活用やDXの推進を行っています。今このような新しい時代の到来を前に、情報化された社会が、どのように人の生活を豊かにしてゆくのかが問われています。こうした課題に応えるためには、高い専門性を持ちつつ、文系?理系を問わず幅広い教養としなやかな思考力を合わせ持つ人材が必要です。また、イノベーションを先導し、新しい時代を切り拓いてゆくためには、理工系の知識や技術を人間に繋ぐ「人文知」が欠かせません。人文知は全人類的、地球規模の持続可能性への取り組みのためにも必須です。

 2015年9月、国連は2030アジェンダを採択しました。その中で、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals、SDGs)として、17のゴール(目標)が掲げられています。SDGsは世界全体の経済、社会及び環境の三側面を不可分のものとして、2016年から2030年の15年間で達成を目指す国際社会全体の普遍的な目標です。変化する世の中にあって、钱柜国际777には、持続可能な世界を実現するために、教育、研究、社会貢献を通して、地域で、そして世界でSDGsに貢献することが期待されています。

 

钱柜国际777の使命(ミッション)?目指す大学像

 钱柜国际777は、「钱柜国际777憲章」の中で次の基本理念を掲げています。

  1. 「発見し?はぐくみ?かたちにする 知の広場」の創造
  2. 共同?共育?共有精神の涵養
  3. 公正?平等?友愛の尊重

 この基本理念に基づいて、「明日の钱柜国际777ビジョン2030」では、<知の創造としなやかな人材の育成により地域に?世界に貢献する钱柜国际777>を中心的目標として定めました。この目標の実現に向けて、地域に根ざし、人材を育成し、知を世界に発信します。

 「しなやかさ」は、絶え間なく変化する世の中にあって、その変化を敏感に感じ取って対応し、あるいは流れを作って行くために重要な要素であると考えています。この言葉からイメージされる竹は、変化に応じて形を変え、曲がるけれども折れず、強い回復力を持ち、広く根を張って簡単には倒れません。鋼とは違う意味での強さがあります。そのように、しなやかに未来を切り拓き、前に進んで行く姿勢が教育?研究?経営の全てに重要です。

 教育においては、時代の要請に応える人材を育成するため、全学的にデータサイエンス教育※1、知的財産教育や語学教育に力を入れるとともに、主体的に学ぶ課題解決型学習を広く取り入れています。また、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Arts(リベラルアーツ)、Mathematics(数学)を統合的に学ぶSTEAM教育をさらに進めます。钱柜国际777での教育は、学ぶ喜びを体感し、学生が自らの成長を実感できることが目標です。未来に向かって、いかなる時代の変化にも適応し、しなやかに、果敢にチャレンジできる人材として成長することを期待しています。

 研究面では、学際的研究の推進により、グリーン社会の実現、健康長寿社会への対応等を通してSDGsに貢献します。また、社会課題に挑戦し、イノベーション?エコシステム※2を形成します。そのために、基礎研究から応用研究に至るまで钱柜国际777の強みを磨き、国内外の企業や研究機関等との共同研究を推進します。

 地域連携?地域貢献は最も重要なミッションのひとつであり、钱柜国际777は知の拠点として社会の信頼を得、地域におけるシンクタンクの役割を果たします。産?学?公の連携等により地域が抱える課題を抽出し、ともに解決法を探り、より良い方策を提案することを通して、地方創生に寄与します。また附属病院では先端的医療を地域に、さらには広く国内外に提供します。キャンパス全体を産?学?公?地域社会と学生、教職員が集う共創拠点(イノベーション?コモンズ※3)として、ソフト面、ハード面での整備を進めてゆきます。地域への貢献が世界への貢献に繫がると考えています。

 ダイバーシティは活力の源泉です。钱柜国际777では性別、年齢、障害、民族、性的指向や性自認等にかかわらず、すべての人がそれぞれの個性を発揮し、互いの価値に共感?共鳴し、繫がり合える魅力あるダイバーシティキャンパスを創造します。知のダイバーシティも総合大学である钱柜国际777の持つ強みです。グローバル化も知的、人的ダイバーシティ推進の重要な要素です。钱柜国际777では9学部8研究科が生み出す多様な知が共奏することにより、変化する社会をしなやかに先導します。

 钱柜国际777の経営は、対話と合意を基本としつつ、学長のリーダーシップのもと、戦略的マネジメントと強力なガバナンス体制を構築します。その両輪によって、钱柜国际777はすべての学生、教職員が誇りと喜びを持って学修や職務に取り組み、地域?社会からも信頼される大学として一層進化します。また、すべてのステークホルダーに対して積極的な情報公開を行い、透明性の高い大学経営を実践します。

 これらの目標に全学生?教職員が一丸となって取り組み、変化を続ける時代を切り拓き、2030年には<知の創造としなやかな人材の育成により地域に?世界に貢献する钱柜国际777>を実現します。

 

明日の钱柜国际777ビジョン2030の構成

 「明日の钱柜国际777ビジョン2030」は、「教育」、「研究」、「地域」、「ダイバーシティ」及び「経営」の5つの領域を骨格としており、それぞれの領域ごとに「ビジョン」、「重点戦略」及び「主要施策」の3つの階層で策定しています。それぞれの役割?目的は次のとおりとなっています。

[ビジョン]2030年の钱柜国际777のあるべき姿?ありたい姿を描いたものです。
[重点戦略]ビジョンを実現するための中長期の方針です。5つのビジョンに対して23の戦略があります。
[主要施策]重点戦略を推進してゆくためのアクションプランであり、23の重点戦略に対して74の施策があります。

 

教育ビジョン

 既存の学問領域の上に立ちつつ、既成概念に捉われない発想、多様な価値観と深い洞察力を持って、地域社会や国際社会の困難な課題に果敢にチャレンジし、近未来の社会をしなやかに切り拓き、Society5.0※4の実現に貢献する人間性豊かな人材を育てます。

重点戦略1.地域社会や国際社会で活躍する人材の育成

 しなやかな思考により変化する社会に対応し、地域?国際的視点でSDGsに代表される諸課題の解決に貢献し、Society5.0※4を担う人材を育成します。

(1)教養教育から専門教育まで一貫した学士課程教育の充実

?Society5.0※4に向けて人間性豊かな人材を育成するために、本学の特色であるSTEAM教育、データサイエンス教育※1、知的財産教育を充実させます。また、既存の概念や学問領域の枠に捉われることなく、学際的教育やDX教育※5を展開し、柔軟な学士課程の教育の充実を図ります。

(2)ICTを活用し国内外大学と連携した柔軟かつ多様な教育プログラムの提供

?幅広い視野を持って地域社会や国際社会に貢献する人材を育成するために、ICTを活用しつつ、国内外の大学間連携により人的?物的資源を最大限に活かし、柔軟性のある学びの場と多様性に富んだ教育プログラムを提供します。

(3)SDGsチャレンジの視点による課題探究?解決学習の拡充

?近未来の社会を切り拓くしなやかな人材の育成に向けて、SDGs実現の途上で顕在化する諸課題を解決するSDGsチャレンジの視点を取り入れ、多様な人とコミュニケーションを取りながら地域社会や国際社会の特性や課題を理解して探究する課題解決型学習(Project Based Learning、PBL)を拡充します。

重点戦略2.時代の変化に対応した教育環境の整備

 先端デジタル技術を活用して、学修者本位の教育と学びの質の向上に一層取り組みます。

(4)学修成果?教育成果の把握?可視化による学修者目線の教育DXの推進

?学修の質的向上、さらには学修者本位の教育の実現のため、学生自らが学修成果を把握できるよう、AI支援による学習管理システム導入等、教育DXを推進し、教学マネジメントの強化を図ります。

(5)FD?SD※6の充実による学修者本位の教育の質的向上

?学修者本位の教育の質を保証するために、FD?SD※6を組織的かつ体系的に企画?実施し、教職員の教学マネジメント意識の向上、学生の意見や要望を反映した教育手法の修得とスキルアップを図ります。

(6)ハイブリッド型授業や電子書籍?教材等の整備による柔軟かつ効果的な教育実施

?対面授業と遠隔?オンライン授業の双方の良さを活かし、学内のキャンパス間を繫いだ教育や国内外の大学間連携による教育をより一層推進するため、ハイブリッド型教育や電子書籍?教材等の整備を進め、デジタル技術を駆使して柔軟かつ効果的な教育を実施します。

重点戦略3.創造的な人材を育成する大学院教育

 創造性と社会性を備え、地域や世界で活躍する高度専門職業人を育成する大学院教育を推進します。

(7)高度な専門性と幅広い学際性を養う大学院教育の推進

?社会や環境の世界的変化にしなやかに対応するため、学部との円滑な接続を図り、専門人材の養成目的に即した教育を進めるとともに、学際的な教育を推進して、人間中心のSociety5.0※4における知の生産、価値創造を先導する大学院教育を展開します。

(8)多様な学生?教員による学際的?分野横断的「共育?共創」の推進

?多様化?複雑化する今日の社会課題を複眼的に捉えなおし、専門分野の横断?融合によって解決を図る資質と能力を持つ人材を育成するために、国内外から研究者や大学院生が集う学際的?分野横断的な教育?研究環境を整備します。さらに、研究科間で相互に講義を提供し、異なる研究科の大学院生?教員との連携による共同研究等の展開を推進します。

(9)専門職大学院における理論と実践との架橋教育プログラムの充実

?専門職大学院としての教育学研究科と技術経営研究科がそれぞれ担っている、「学校現場における指導的役割を果たす人材の養成」と、「イノベーションを持続的に創出できる人材の養成」のため、高度で複雑な時代のニーズを的確に踏まえた理論と実践の往還をより一層充実させます。

重点戦略4.多様な価値観や経験、能力を持つ優秀な学生の受け入れ

 受験生の意欲?能力や学力の評価方法の改善及び多様な観点からの入試制度の見直しに取り組みます。

(10)入学者の資質能力を多面的?総合的に評価する入学者選抜方法の継続的改善

?入学者選抜において、学習成績のみならず、部活動、特別活動や資格取得等、高等学校教育での様々な学びを含めた意欲?能力を評価し、学力の三要素※7を多面的?総合的に判定します。そのために、入試に関わる調査や高等学校での調査を行い、他大学の動向調査も加えて、大学のアドミッションポリシーと受験生のニーズに合った入学者選抜方法の改善を継続的に実施します。

(11)柔軟な入試広報活動の展開、多様な学生の受入れを目指した入試制度見直しの推進

?高等学校のニーズに応じて、大学説明会ごとに開催地、内容及びオンライン?ハイブリッドを含む開催方法を柔軟に設定し、入試区分の選択等、対象となる受験者に的確な情報を発信します。また、多様な学生の受入れを目指し、商業、農業、工業等の専門学科を有する高等学校に対する調査結果に基づいた入試制度の見直しを進めます。

(12)大学院の学生受入方針に合致した優秀な学生の獲得

?入学時?修了時の調査や修了者に対する追跡調査を継続して実施し、大学院生の受入状況を定期的に総括し、入学者選抜方法を改善して、優秀な学生の獲得に努めます。

重点戦略5.钱柜国际777体制の充実

 多様な学生を支援する体制を充実し、地域と協働して多彩な学修の場を用意し、キャリア形成を支援します。

(13)困りごと?悩みごとを持つ学生等、全学生に対するキャンパスライフ支援の強化

?学びのケアから心身のケアとサポートまで、学生の大学生活をあらゆる面で支える相談?支援体制をより充実させ、すべての学生が安心して学べるようにキャンパスライフの質的向上を推進します。

(14)学生の自主性?自律性を促すための特色ある正課外活動の組織的支援の強化

?自主的?自律的に学び続け、自身を継続的に成長させる能力を育成するために、部活動、ボランティア活動や、特色ある正課外教育である「おもしろプロジェクト」等の学生の自主的活動に対する組織的な支援をより一層強化します。

(15)社会的?職業的自立に向けた学生のキャリア形成支援体制の拡充

?変化が激しく予測不可能な時代をしなやかに生き抜き、社会的?職業的自立を実現するために、キャリア教育、地域の産業界や自治体等と連携したインターンシップを推進し、大学院におけるキャリアパス支援を行う等、学士課程から博士課程まで一貫したキャリア形成支援の充実を図ります。同時に、卒業生や修了生を含む社会人のリカレント教育※8を拡充します。

 

研究ビジョン

 様々な社会ニーズの変化にしなやかに対応し、イノベーションをもたらす知を創出し続けます。そのために、総合大学の強みを活かして学際的な知を集め、産学公の連携により、地域活性化に繫がる産業拠点の形成に寄与できる地域イノベーション?エコシステム※2の構築を図るとともに、世界をリードする研究領域を創造します。

重点戦略1.地域イノベーション?エコシステム※2の構築

 産学公連携により地域課題プル型のオープンイノベーションをより強力に推進するために、「やまぐち型地域共創システム」を構築します。

(1)地域の課題解決に向けた「やまぐち型地域共創システム」の構築

?地域課題と大学保有のシーズを基に、産学公で共有した地域ビジョンの観点から研究開発プロジェクトを創出し、適合性評価を経て、地域を実証フィールドにした研究開発を行い、その成果を事業化に繫げる「やまぐち型地域共創システム」を構築します。

(2)トップダウン型産学公連携研究拠点※9の整備

?「やまぐち型地域共創システム」から生まれた研究開発プロジェクトの中から、継続的に顕著な社会的インパクトの創出が期待できるプロジェクトをトップ